庭園長のブログBLOG

庭園長のガーデニング・エトセトラ(25)~ガーデニングのスマート・テロワールをめざして~

2025.8.26

❝スマート・テロワール❞とは、地域の特性を活かしながら、
持続可能な未来をめざす新たな概念。
スマートとは、「賢い」「無駄のない」の意。
テロワールとは、フランス語で「土地」「特徴ある地域」の意。

地域特有の風土や景観、品種、栽培法などを育み、
安心安全な地産地消の循環型自給経済圏を築いていくこと・・・。

地域内での物質循環、産業循環、経済循環が
可能な仕組みを追求していくこと・・・

住民の知の連携が織りなす、固有の美しさと
豊かさにあふれる農村をめざしていくこと・・・。

私たちガーデナーが属する農業のカテゴリーは、
主に「園芸農業」または「園芸サービス業」。
農業を核とした豊かな地域づくりは、
私たちガーデナーの目指すべき未来でもあるのです。

豊浦地域では、耕作放棄地や山林を活用して、
10年以上前から「南半球プランツ」という
新たなカテゴリーの、温暖化にも対応した植物群を栽培し、
花卉(鑑賞用に栽培される植物全般)としても注目を集め、
全国各地の市場やナーセリーに出荷している「響グリーン」があります。

南半球、オーストラリアの海岸性気候に似た、響灘エリアの
気候風土に着目し、オーストラリアやニュージーランド、
南アフリカなどに自生する花木を地植えや温室で栽培。
いちはやく、独自の栽培技術や剪定技術を構築してきた、
リーダーの田中さんを中心に、ノウハウの共有化を実践。
みなさん、とてもなかがいいのもすてき・・・。

環境にやさしいオーガニック栽培を志向するとともに、
響灘の水産加工から排出される海の残渣や、
農業から排出される、稲わらやもみ殻など野の残渣、
近隣の乗馬クラブから排出される馬糞堆肥などを
原料とし、有用微生物の力を借りて発酵させた
オーガニック完熟肥料を使用して栽培することで、
地域内循環型の農業の実践をも実現しています。

 

南半球プランツという高付加価値植物によって、
経済的にも潤うことで、次世代の担い手をも育成。
まさに持続可能な農業を推進中のみなさんを、
私は、ほんとうにかっこいいと思うのです。

まだまだローカルではその活動が知られていなくても、
全国的には高い評価を得ている人々・・・。
当園でも、その輪のなかの一員として、
南半球プランツガーデン&トレイルを構築。
その成長を楽しみながら、活動の中核エリアとして、
南半球プランツのドライ素材を使用した作品づくりを行っている
ボタニカルアーテイストさんたちともつながりながら、
今後の豊浦エリアの新たな可能性を広げていけたらと思います。

オージープランツを代表する花木のひとつ、
グレビレアの花言葉は、
「燃える熱情」「平和」「あなたを待っています」・・・

地元豊浦の❝響グリーン❞のグループのみなさんの情熱が
未来に、大きく花開き、結実しますように!

庭園長 国司 淑子(くにし としこ)