庭園長のブログBLOG

庭園長のガーデニング・エトセトラ(26)~家+庭=❝家庭❞という言葉の語源

2025.9.8

「家族」の居場所が「家庭」であり、
「家庭」は、「家」と「庭」から成り立っています。
家と庭がある場所こそ、家族の居場所なのかも…。

「家庭」は、庭がなければただの家=ハウス。
家に庭があることではじめて住まい=ホームになるのかも…。

建築家は、家のなかから庭という「そと側」を意識し、
ガーデナーは、庭から家という「うち側」を意識します。
でも理想は、共同のプロジェクトであるべきなのかも…。

家と庭をトータルで考える住まいづくりが、
自然との調和やつながりを豊かにし、
自分たちの暮らしを、四季折々、快適に彩ってくれる
のではないでしょうか。

日本の庭園には「ワビいる」「サビいる」という言葉があります。
年代を経ることによって成熟していく「風化の美学」…。
家族の成長と同じように、家も庭も変化していくもの。
ガーデナーには、「時間のデザイン」という視点が必要です。

日々の暮らしのなかで、庭の手入れを、体を動かすよい機会と
とらえ、健康的な習慣としてライフスタイルの一部にすること。
早朝の庭仕事で土に触れ、植物の生長を見守るひとときは、
忙しい日々のなかでの生活の句読点。幸福なおうち時間を
よりおだやかで豊かなものにしてくれるはずです。

庭園長 国司 淑子(くにし としこ)