庭園長のブログBLOG

子どもたちの未来につながる景色を、想像&創造するために~オーガニックガーデンパークをめざして

2024.5.22

❝杜の庭園リフレッシュパーク豊浦❞は、
❝オーガニックガーデンパーク❞をコンセプトとして、
みんなにとって快適で安心安全な都市公園づくりを
めざして、スタッフ一同、努力を重ねています。

「川棚温泉まちづくり株式会社」のうち
わたしたち「杜の庭園リフレッシュパーク豊浦」
チームが庭園管理をするようになって3年が過ぎ、
4年目を迎えています。

その間の、化学肥料や農薬を使用しない、
無農薬有機栽培への取り組みにより、
微生物の力や団粒構造化で土壌が豊かに改善され、
土は、ふっかふかで黒々としてきて、
植栽している植物たちの根力が格段に強まり、
花色も花香も花もちもよくなってきました。

さらに・・・
この温暖化のなかでも、植栽してもすぐ枯れるといった
ことも少なくなり、宿根草の定着率も上昇しています。

以前は、大雨が降ると水が地下に浸透せず
表土を押し流すといたことが頻繁でしたが、そ
れらもかなり改善。涵養力もついてきています。

そして、なにより大きな変化は、{沈黙の春}ならぬ、
いま、「歓喜の初夏}を迎えていることです。

地面の下の微生物やミミズなどの多さだけでなく、
鳥や蝶や蜻蛉や甲虫類やトカゲなど、生きものが増え、
生物多様性がぐんと増しており。
鳴き声やさえずり、羽音などが園に響き渡ります。

当園の自然度を定点観測してくださっている
生物学や昆虫に関する専門家の方々からも、
生物多様性が格段に向上しているとの
うれしい指摘をいただいています。

もっともっとうれしいことは、
3年を経て、川棚周辺の地域の専門家の方々との
ネットワークが強く深く熱く構築されてきたこと。
たとえば・・・

おとなりの「川棚乗馬クラブ」さんからは、
植物栽培にとっては最適な「馬糞堆肥」を。
「深川養鶏協同組合」さんからは安全な鶏糞を。
近隣の畜産家さんからは牛糞堆肥を。
「秋吉台自然動物公園サファリランド」さんからは
害獣防備のための、ライオン・トラの糞を・・・

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

わたしたちにとって、糞は大切なオーガニック資材。
園のバックヤードに保管&手入れして、堆肥化し、
土壌改良や獣害対策に文字通り「糞闘(ふんとう)}中。

また豊浦町には「合同会社有機の里」が存在し、
有機農業を中心に地域循環共生圏づくりに挑戦中。
当園でも毎年秋に「豊浦オーガニックビレッジ」を
開催していただき、カーボンニュートラルな取り組みを
共有しているところです。

さらに、強力な専門家たちとのコラボレーション・・・

菊川の松尾師匠からは、竹林整備により産出した、
孟宗竹炭を燃料にした「竹炭」生産の副産物である、
炭粉と、純粋な「竹酢液」を提供してもらい、
希釈して、バラ等のエコケアに活用しています。

菊川の「貴和の里につどう会」代表の吉村師匠からは、
毎年、手作りぼかし有機肥料づくりを指導してもらい、
当園1年分のオーガニック肥料としてストックし、
全園の植物栽培に活用しています。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

川棚の「ツチヨシバイオセンター」の井上師匠は、
海藻やウニ殻や貝殻など海のものと、
コメヌカや馬糞や落ち葉など陸のものと、
独自技術により培養した有用微生物群をミックスし、
オーガニックな特殊肥料「土輝る馬」を製造中。

当園では、バラ園をはじめとした多彩なテーマガーデンの
マルチング資材として活用。森林に倣い、耕起せず、
積み重ねる方法で、マルチングすることにより、
植物本来の強さが発揮され、大きな効果を出しています。
そのためか、黒星病や害虫被害が激減しています。

さらに、川棚のオージープランツ(オーストラリア植物)
ファームの田中師匠からは、先進の栽培・剪定技術の指導を
いただきながら、当園の新たなチャレンジとして、
昨今の地球温暖化や環境変化にいちはやく対応して、
「オージプランツコレクションガーデン」を整備中。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

生長の速いオージープランツの育成実験として、
スタッフともども管理ノウハウの集積に
努めている最中です。
身近に田中師匠がいらして、実践的テクニックを
じかに学べるのは本当に心強いことです。

来園者の皆さんに、オージープランツの
魅力を体感していただきたくて、
田中師匠から提供していただいた各種のスワッグを
ビジターセンターに展示しています。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

みなさん、川棚周辺を拠点として、長年、
強固な信念をもって、オーガニック栽培分野に
取り組んでいらっしゃる先駆者たちばかり・・・。

そして、毎年、イノシシやシカやアナグマの
侵入により、栽培植物に甚大な被害が出ている
当園の救世主として、園の見回りと駆除を
担当してくださっている「猟友会」のみなさん。

これらの方たちこそ、
豊かな海・湖・池・野・山に恵まれた
川棚の風土がはぐくんでくれたいちばんの宝。

心強いその出逢いに感謝しながら、わたしたちも
独自の「オーガニックガーデンパーク」づくりを
めざして、努力を続けています。

次世代の子どもたちに、美しくて有機的な、
❝K  A  W  A  T  A  N  A❞という景色を
引き渡すために・・・

庭園長 国司 淑子(くにし としこ)