植物は、大切な人生の「ともだち」。
植物は、自身では動き回れない。
だから私たちは、植物をしあせに育てたい。
育てることで、私たちもしあわせになりたい。
植物をしあわせにするためのいくつかの方法とは・・・
植物は、感嘆するほど洗練された機能としくみの持ち主。
太陽の光や水や土や空気とともに、デンプンや
脂質やタンパク質をはじめ、色彩を生み出す物質や、
植物ホルモン、酵素などを製造しているのです。
その恩恵をこうむっているのは、すべての生命。
なにより、私たち人間なのです。
さあ、しあわせの恩返し・・・
①水で恩返し
水が必要のない生物は、まだ地球上では知られていません。
植物は一般的に、約80~90が水分で構成されています。
その水は保存されず、極性移動し、
毛細根から吸収され、葉から蒸散します。
光合成の材料になり、二酸化炭素を分解し酸素を生成。
鉱物の栄養は、水に溶けてからでなければ
毛細根は吸収することができません。
水のやりすぎは禁物ですが、表土が乾いたら
水やりをたっぷり。幸せの恩返しです。
②栄養で恩返し
植物は、光合成によって、酸素O、炭素C、水素Hを。
土中からは、窒素N、リン酸P、カリウムKの三大栄養素のほか、
カルシウムCa、マグネシウムMg、硫黄S、鉄Fe、銅Cu、マンガンMn,
亜鉛Zn,モリブデンMo,ホウ素B,塩素Ci、ニッケルNiなど
約30種類の物質を得ています。
自ら必要な栄養素を取り入れることができるので、
恩返しはあまり必要ではありませんが、
鉢植えやプランター植え等の場合は、
土壌量が限定されるので、栄養補給も大切。
いい環境づくりと土壌にやさしい有機肥料で恩返し!
③空気(風)で恩返し
部屋の換気は、私たちの健康維持に必要ですが、
植物にも、適度な換気と新鮮な空気は不可欠です。
私たちにできる恩返しは、風通しをよくすること。
花後の枝や伸びすぎた枝は、軽く剪定して、
風の通り道をつくりましょう。
鉢の位置は少し離して、空間をつくりましょう。
植物にとって群れは病気のもとです。
図と濡れたままの葉も、風が吹き飛ばします。
風は、植物の呼吸を助けてくれる存在。
風の通り道づくりで、恩返し!
③土で恩返し
土は、さまざまな物質の集合体です。
何万年もの時を経て、海山の岩が砂利になり、
鉱物のチリになっていきます。
土は、動物の糞や死骸、枯れた植物などの有機物も
含んでいます。海のものと山のもの、動物と植物など、
さまざまなドラマの集合体でもあります。
森の土壌をお手本にして、質のいい培養土づくりを。
それは、地球46億年の歴史に思いを馳せること。
植物の偉大さを再確認すること。
土を知って、さあ、恩返し!
④光で恩返し
エネルギーを自分でつくりだす生物はいません。
エネルギーの出所は、太陽か地球。
植物に光があたると、光合成システムが動きだします。
植物は、光が不十分だと生きていけないのです。
でも。必要な光の強さは、植物によってさまざま。
光をつくりだせない私たち人間ができることは、
植物の原産地や自生地はもちろん、性質を知って、
適切な環境での栽培に努めること。
夏によく育つ植物は、直射日光に強いものもありますが、
宿根草など、晴賢秋まで長く楽しめるものには、
真夏の直射日光や西日が苦手なものや、
30℃を超えると、生長を止めてしまうものもあります。
遮光率40~60%の遮光ネットの利用や、
植木鉢なら涼しいところへの移動、二重鉢などの対策を。
光や温度を快適にコントロールする知恵で、恩返し!
でもいちばんの恩返しは、植物をずっと好きでいること。
その存在に感謝して生きること。
私たちは、植物に生かされているのです・・・
庭園長 国司 淑子(くにし としこ)