近年、ガーデニングの世界でも、環境負荷の少ない
無農薬有機(オーガニック)栽培に、注目が集まっています。
それに伴い、ガーデニングに欠かせない土と
土壌微生物についても、さまざまな知見が集まっています。
とはいえ、研究で解明されているのはたったの1% !!?
99%は、まだ、未知のゾーンなのです。
太陽系第三惑星地球。唯一、生命が確認されている天体。
その奇跡の星で、私たちはさまざまないきものと
いっしょに生きています。こうした地球のなかまたちに、
できるだけ環境負荷をかけたくない・・・
それはまず、土や土壌微生物たちとの対話から・・・
微生物とは、肉眼では見えないくらい小さな生物の総称。
細菌(バクテリア)、真菌(カビ、酵母、キノコなど)、原生動物、
微細藻類などを含みます。
実は私たち人間は、微生物に支えられて生きているのです。
微生物は、地球規模では、土壌の生成や生態系の維持に
大きな役割を果たしています。
一方、私たちの心身にも潜んでおり、腸の中には、
100兆個がバランスを取りながら存在しているとか。
もしかしたら私たちは、微生物に支配されているのかも!!?
ちなみに、綿種たちの先祖をたどっていくと、
「アーキア」という微生物にゆきつくのだそうです。
支配どころか、私たち自身が微生物だったのです・・・
さて、人類が生きるために使用できる土を、地球の
陸地表面の厚さにしたら、たった18㎝程度にしかすぎません。
・・・18㎝というのは、世界の作土層を平均した数字です。
私たちの食べている植物は、土から生まれます。
家畜は草を食べて成長し、魚は土から流れ出た養分が
海の栄養素となって生かされています。
そう、いきものはみんな、土から生産されているのです。
土の中で、微生物が最も多いのは表土と呼ばれる部分。
1gの中には、細菌だけで4000種類、数十億個が存在。
1haあたり、生体重量6tが生息しているということ。
さて、土と土壌微生物のお話・・・
土壌微生物の大きな役割は、分解。
土から生まれた植物や、動物や動物の排泄物や死骸など、
すべての有機物を分解してくれます。
土壌微生物の多様性が高く活性化していると分解が促進され、
有機物を、植物が吸収できる無機物へと分解し、
土はふかくかでやわらかくなり、
植物は根を伸ばしやすく、栄養分を吸収しやすくなります。
結果、酸素も水もよく通し、pHも最適に保つことができます。
土壌微生物の機能や多様性が豊かな土壌をつくり、
森の樹々や草原の草々、
田畑の作物や庭園の草花を育てるのです。
眼には観えない土壌微生物こそが
地球の生物多様性を支えています。
オーガニック・ガーデニングとは、
見えないいのちをイメージし、
見えない未来をはぐくむこと。
こんなゆたかで美しいライフスタイル、
そうそうあるものじゃない。
庭園長 國司 淑子(くにし としこ)